最適な良品の製造条件管理に向け「サーモモニタリン」を採用
蓄積したデータで金型温度と不良発生の因果関係を分析
― 改めて、貴社の主力事業の概要についてお聞かせください。
主力製品はアルミニウムダイカストです。エンジンブロックやミッションケース、オイルパン、チェーンカバー等の四輪部品を主に生産しています。
その他では農機具部品や二輪部品、船外機のエンジン周辺部品などがありますが、全般的に輸送機器関連の製品が中心です。
― ダイカストにおいて金型の温度管理は非常に重要と考えられますが、現在の貴社における金型の温度管理への取り組みや必要性についてお聞かせください。
当社では10年ほど前から、最適な良品の製造条件を管理する「OPCC(Optimal Process Condition Control)」という活動を進めております。活動の一環として製造条件や状態のセンシングがあり、金型の温度測定もそのうちの1つです。
生産技術部 技術標準課
技術主幹 小池 博 様
― 撮影するタイミングは、離型剤の塗布前と塗布後でしょうか。
データとしては(離型剤の)スプレーの前後で欲しいのは間違いないですね。ただ、当社ではスプレーの塗布後でしか撮影していません。塗布前も撮影していくとサイクルタイムがどんどん伸びていってしまいますので。
― 離型材の塗布量が適切なのかどうかを確認したい、というお客様もいらっしゃいます。
離型剤をスプレーした後の金型温度が何℃になるのかをモニタリングするという点で言うと、先ほどの話と目的は一緒なのかもしれません。
「サーモモニタリン」を
ダイカストマシンに設置
ダイカスト型をそれぞれ撮影
― 撮影したデータはどのように活用していく計画でしょうか。
金型温度と不良の因果関係に非常に興味があります。
具体的には「サーモモニタリン」の撮影データをグリッドで分け、エリアごとに温度と不良の相関を取っていく計画です。何万ショットというデータを積み重ね、不良との紐付けから分析までを行っていこうとしています。そうすることで場所ごとに傾向がつかめるのではないか、そこに1番期待しています。
その他では金型寿命と経年変化ですね。経年劣化で冷却効果がどんどん落ちていく可能性は当然あると思われますので、そのあたりを見ていけるといいかもしれません。
― その他では、金型のメンテナンス前後で金型温度がどう変わったかを分析するといったニーズなどはございますか。
そうですね。御社の金型管理ソリューション(金型IoTソリューション)とセットになっていると面白いかもしれませんね。
御社の金型管理ソリューションと「サーモモニタリン」が合体すると、「今回のメンテナンスで何をやったか」の履歴がすぐ確認できます。必要だと思う人は沢山いると思いますよ。
― その他、機器に対して今後期待したい点などはございますか。
無線給電に対応すると良いと思ってます。
当社には鋳造機から製品を取り出すロボットが必ず付いているんですが、そのロボットにカメラを持たせ、金型の中に入って撮影するという運用も考えられます。無線給電ができればロボットが掴んでいない時に充電しておき、隣り合った設備をロボット2台で交互に撮影するということもできるかもしれません。シャッタータイミングもさらに高速化されると良いと思います。
― そういった改善点にも今後取り組んで参りたいと思います。
金型温度の計測以外にも、関連設備の表面温度計測や監視にも使えないかという視点でKMCさんにトライアルしてもらっています。電源はあってもLANが無いという所もありますので、「サーモモニタリン」が無線で使えるという点は魅力です。価格が安価という点もありたがいですね。追加導入の際にはよろしくお願いいたします。
― お忙しい中、誠にありがとうございました。