IoT導入により、勘だけでなく理論にもとづくノウハウを蓄積
需要拡大を見込む樹脂製機能部品のニーズに応える
(松山様)弊社のフィルタ事業ですが、液体系と気体系の両方を手掛けています。具体的に言うと、オイルフィルタ、燃料フィルタ、エアフィルタ、ガスフィルタなどですね。トラックやバスなどの商用車やユンボなどの建設機械といった、いわゆる「働く車」のエンジン廻りに取り付ける各種フィルタを製造しています。
これらは静岡県内にある第一工場、第二工場及び第三工場で製造しており、第一工場は液体系、第二工場では気体系のフィルタ、また中身エレメントは第三工場でそれぞれ担当しています。その他では、石油精製・化学、空港給油施設関連の各種フィルタ製造をつくば工場(茨城県)で担当しています。
フィルタというとエレメントなど中身の部分をイメージされるかと思いますが、当社の製品は全部をユニット化し、1つの装置として提供しています。
売上比率でいうと80%が「働く車」関連で、ざっくり分けると建設機械が60%、商用車関連が40%です。
取締役 自動車・建産機事業推進本部
生産統括部長 松山 和己 様
(鈴木様)一般的にはシリンダーの温度が高かったり、計量時に材料がシリンダー内にうまく送られず空気を巻き込んでしまったり、などですね。
(松山様)樹脂成形やADC(アルミダイカスト)など、溶かした材料を金型の中に流し込むような成形の場合、基本的には均等肉厚の製品を作ります。
ただ、ご覧になってわかるとおり、この製品(右写真)はまったく均等肉厚ではありません。ですが、こうした形状でなければ機能部品の役割を果たさないんです。成形機は同じ圧力で成形しているわけですから、金型の中で部分的に圧力が変化します。複雑な製品形状であるがゆえの不具合、というのはどうしても出てしまうのが事実ですね。
(鈴木様)もう1つは透明という点ですね。色が薄くなってくればくるほど難しくなってくる。性能上問題が無い不純物が透明がゆえに目立ってしまう。これをどう抑えるかが重要です。
同社製フィルタユニット(上)と カバー部品
(堤様)今でこそ、材料ロットが変われば粘度も変わるなど色々と理解しておりますが、以前は不良が止まらなくなってもその理由がわかりませんでした。
また、これは最近の話なんですが、ある添加剤が入った材料を使って成形した後に、異なる材料の成形品を製造したら、まったく良品が取れなくなったということがありました。
それまではまったく不良が出なかった製品だったので、「Σ軍師」で色々と調べてもらったところ、添加剤入りの樹脂を使った後の計量時間のグラフがものすごくバラついていたんですね。材料がホッパー内にこびりついて、以前までと材料の流れが変わってしまっていたんですよ。
自動車・建産機事業推進本部
生産統括部 製造部製造3課
樹脂成形1係長 堤 亮太 様
(鈴木様)「Σ軍師」では成形した結果が全部比較できます。材料や条件を変えた時に発生する不良や現象をデータとしてすべて持っていますので、ノウハウとして蓄積されていきますよね。
昔は機械にずっと張り付いて、実際に起こってる現象を見ていました。今は「Σ軍師」からのデータを見れば、何が起こってるかが大体わかります。
(松山様)もう1つは計量時間ですね。「最適な計量時間を得るためのきっかけを、Σ軍師のデータから見つけられた」ということです。5秒や8秒といった長い時間ではなく、1秒2秒の間で調整しなければ不良が出るということが解明できました。
成形機の近くでリアルタイムに
取得データを確認